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従来比15倍速のデコンボリューション処理を用いた 膨張顕微鏡向け画像処理パッケージ「Expansion Microscopy Studio」を無償で提供
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従来比15倍速のデコンボリューション処理を用いた 膨張顕微鏡向け画像処理パッケージ「Expansion Microscopy Studio」を無償で提供

2018-11-14
プレスリリース

マルチコアCPU/GPU/FPGAを用いた高速化技術のグローバルリーダーである株式会社フィックスターズ(本社:東京都品川区、代表取締役社長:三木 聡、以下フィックスターズ)の米国子会社であるFixstars Solutions, Inc.(本社:米国カリフォルニア州アーバイン)は、11月13日(米国時間)、エクスパンション顕微鏡(膨張顕微鏡)における画像処理を高速化するソフトウェアパッケージ「Expansion Microscopy Studio」(以下ExM Studio)を無償で提供することを発表しました。このソフトウェアはwww.exm.studioより入手できます。

従来の光学顕微鏡では可視光の中で最も短い波長の半分程度の約200nm以下の物体はぼやけてしまい、脳細胞など複雑な組織の詳細な観察は出来ませんでした。エクスパンション顕微鏡法(Expansion microscopy)は観察したい生体試料を物理的に拡大することにより、光学顕微鏡の分解能を向上させる方法です。ポリマーを用いて生体試料を拡大することで、3次元、かつ、ナノスケールの解像度で複雑な組織を観測することができます [1]。エクスパンション顕微鏡法では生体試料を拡大するので、顕微鏡の小さな視野で標本全体をカバーするために何度も画像を撮影します。生体試料の完全な3次元画像を得るためには、多数の高解像度画像ファイルを統合してつなぎ合わせる必要があります。これを実現するための適切なアプリケーション/ツールの選択は容易ではありませんでしたし、画像処理時間は数十時間以上かかることもあります。

ExMによるマウスの脳(海馬)の3D画像

「ExM Studio」は、ライフサイエンスの研究者のために多数の画像データを高速に処理するための使いやすいソフトウェア環境を提供します。ExM Studioの最初のバージョンでは、世界最速のデコンボリューションソフトウェア [2]が用意されています。これはエクスパンション顕微鏡だけでなく一般的な蛍光顕微鏡にも有効なツールです。Fixstars Solutions, Inc. は、NVIDIA社製GPUを利用してデコンボリューションプロセスを高速化し、CPUベースのオープンソースDeconvolution Lab2に比べ832倍、同じGPU環境を使用した商用のHuygensに比べて15倍の高速化を達成しました [2]

「ExM Studio」の入手、およびソフトウェアの詳細情報は、www.exm.studioをご覧ください。今回提供する「ExM Studio」は最初のリリースです。機能を拡充した第2版を2019年初頭にリリースする予定です。Fixstars Solutions, Inc.は、生命科学の研究者が細胞の内面や生物のあらゆる要素を探究するのを支援していきます。

参考技術資料

  1. Fei Chen、Paul W. Tillberg、Edward S. Boyden(2015), “Expansion microscopy”、Science, 347(6221):543-548
  2. Fixstars Solutions, Inc.社内でのベンチマーク結果。詳細は、www.exm.studio/#performance を参照ください。

フィックスターズについて

フィックスターズは、”Speed up your Business” をコーポレートメッセージとして掲げるソフトウェアカンパニーです。マルチコアプロセッサを効率的に利用するためのソフトウェアの並列化および最適化と、省電力かつ高速IOを実現する新メモリ技術を活用したアプリケーションの高速化を通じて、医療、製造、金融、エンターテインメントなど、様々な分野のお客様のビジネスを加速し、グリーンITを実現しています。


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本件に関するお問い合わせ

株式会社フィックスターズ 広報担当